hanaremon’s blog

小説や詩のブログ

「約束」

 

それは不器用で引っ込み思案な女の子の

 

楽しかった水色に輝く大切な記憶

 

雨上がりの虹色のしずくが

 

昼下がりの優しい風に揺れていた

 

そんな水溜りの残る公園で

 

1人で何度頑張っても上手く飛ばない紙ヒコウキを

 

両手でそっと拾い上げ

 

空高く飛ばしてくれた見知らぬ男の子

 

振り向いた笑顔にやさしい魔法をかけられて

 

いつまでも2人きりの公園で

 

ドキドキしながら何度も空を見上げていた

 

「また明日」

 

そう言って手を振って走って消えた男の子

 

私も手を振って

 

「約束ね」って言ったけど

 

あの日の「明日」はまだ来ない

 

見上げた空にはビルの間の飛行機雲が眩しい昼下がり