hanaremon’s blog

小説や詩のブログ

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

君へ  15

一緒に営業部に戻った すると、彼女の元の部署の女性が待っていた その女性を見て、彼女は僕の後ろに隠れる様に1歩下がった 「何か?」 僕が言うと彼女をのぞき込んで「何であんたなのよ?」と言った 察しは付いた、この人が苛めのボスなんだと・・。 「僕…

貴方へ  XV

今日の1日・・彼からの連絡を待つ オロオロしないで心配しないで、落ち着いて連絡を待とう 食事を終えて一度部屋に戻り着替えてお化粧をして出かけた 今日は自分の車で、彼の前で初めて泣いたあの公園の駐車場へ あの時の事を思い出しながらニヤニヤしたりし…

君へ  14

「昨日の今日で驚いたな~」 そう言って振り向くと彼女が嬉しそうに笑った 「社長さんからの提案は私の為ですよね」 「分かるの?」 「昨日の今日ですから・・でも、本当に私でいいんでしょうか?」 「私で?・・君がいいんだよ」 自分でも驚くくらい素直な…

貴方へ  XlV

次の日、私は朝早く目が覚めた 気になって眠れなかったわりに、気になって起きてしまったんだろう 朝食は7時から・・まだ時間がある このまま一人で部屋にいるのも落ち着かない 朝食前の散歩にでも出かけようと部屋を出た ホテルから少し歩くと、拓斗と初め…

君へ  13

家に帰った僕は今日の事をぼんやりと思い出していた 久しぶりに楽しい食事だった 彼女の悩みが解決した訳ではないが、彼女のあの笑顔を見ていると 少しは気が楽にはなったのかなと思えた 僕の事が憧れだったのはきっとお父さんを知らないから年上の男性に惹…

貴方へ  XIII

ホテルに送ってくれた彼は笑顔で頷いて車を勢いよく走らせた 私は、食欲もないから部屋にこもった 彼の「作戦変更」の言葉が頭から離れず何を考えたのか気になって居た でも、今私の出来る事は「離婚届」にサインをする事だけ 丁寧に、今のこの恨みの気持ち…

君へ  12

彼女指定の中華屋は普通の街の中華屋さんと言う感じだ 彼女は時々来ているのだろうかマスターに会釈をした お店の中はあまり広くはないがテーブルが少しずつずらして置いてあり 隣りを気にしなくていい様になっていた 開いている席は一番奥の隅だった 「良か…

貴方へ  Ⅻ

ホテルに戻る前に役所に寄って「離婚届」を貰って来た 今まで重いイメージだった用紙だけど簡単に手に入るんだなって思った それからホテルに帰って部屋に駆け込んで声を殺して泣いた 悔しい・・悔しくてたまらない 私は人間として扱われていないって感じて…

君へ  11

彼女の家までの時間はまだたっぷりある ずっと黙って運転するのも息苦しい どうしたものかと思案していると彼女が口を開いた 「部長・・今の私の気持ち、重く感じないでください。憧れのような物なので本気で付き合いたいとか大それた考えがある訳ではないん…