2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧
その晩も彼の部屋で一緒に眠った 出勤の1時間半前に起こして、一緒にホテルの朝食を食べて送り出した 彼は今日の夜は自分のマンションに戻る予定だ。 彼を送り出した後、私はホテルの自分の部屋で考えていた 貯金を使って家出しておひとり様で食事してみたり…
僕の職場での立場は「営業部」の部長だ 普通に営業もするが、1日の半分は相談事を引き受けている いわゆる会社での裏の顔は「コンプライアンス部」の部長でもある 会社の社長とは幼馴染みで、表立ってコンプライアンス部を立ち上げると 相談に来た社員達が…
しばらく止まらなかった大粒の涙かやっと小粒になった 彼の手が私の頬を包んで見つめて言った 「泣き顔も可愛い」 「もう~バカ~」 私は笑いながらまた泣いた 人前でこんなに泣いたのは初めてなのに恥ずかしくなかった 彼の前ならどんな自分も安心して見せ…
それは不器用で引っ込み思案な女の子の 楽しかった水色に輝く大切な記憶 雨上がりの虹色のしずくが 昼下がりの優しい風に揺れていた そんな水溜りの残る公園で 1人で何度頑張っても上手く飛ばない紙ヒコウキを 両手でそっと拾い上げ 空高く飛ばしてくれた見…
今日、友人の「死」を知らされた もう1か月前の事らしい 引っ越しの連絡もしてなかった 年賀状でやっと新しい住所と携帯番号を知らせたのだ 必ずまた会えると当たり前に思っていた それなのに、どうしてだ 言葉に詰まる僕に電話の相手は 「誰にも解らない事…
妻に最後通告をしてから1週間が経った まだ何の連絡もないが彼と色々相談でもしているのだろう そう思ってこちらからも連絡は避けていた 今日は日曜日 少し遅く起きて朝食をどうしよかと冷蔵庫を開けたが 昨日までの忙しさで買い物をしていなかったのに気が…
南向きで陽当たりの良い寝室 部屋いっぱいに広げられた工具箱や部品 ベットの上に小さなテーブルを持ってきて 一心にラジコンカーを組み立てている彼の その姿はまるで少年の様に私の目には映る 出会った頃とは見違えるほど痩せた体で 無邪気な笑顔を私に見…
ホテルを出て歩きながら、聞きたい事や確かめたい事が沢山あって 何から切り出せばいいのか考えていた 彼が向かった先は駅前にある「レンタカー」のお店 そこで彼の名前で車を借りて出かける事になった 車の中ならなおさら聞きやすいが、なかなか言葉が出て…
私がまだ小さかった昔 日曜の朝に、空が気持ちよく晴れ渡ると コテージの窓を開け放し 暖かな陽の光の中 目を閉じて長い間そこにいた母 いつしかゆっくりと「お茶」の支度をして 大切にしているイギリスのカップで いつもと香りの違う紅茶を飲みながら 古い…
そう言っても、もう2003年に閉刊してしまっています 30年間の幕を閉じました。 発行は「サンリオ」 責任編集者はアンパンマンで良く知られている「やなせたかし先生」でした 私が知ったのは閉刊する半年前で、とても残念でした この本は「オーディショ…