hanaremon’s blog

小説や詩のブログ

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

君へ  20

奴のマンションに着いた 「あっ、何もつまみを買ってこなかったな・・」 「大丈夫だよ、頼んである」 頼んである?・・ちょっと引っかかった。 ドアを開けるとエプロン姿の彼女が居た・・どういうことだ?これは・・。 俺はすごく目を見開いて驚いた顔をした…

貴方へ  XX (20)

車に戻った拓斗は急いで車をだした。 嬉しそうな顔で私の手を自分の膝に持って行きずっと握って離さない まるで学生の時のデートみたいだ。 しかし、途中で車を止めた 「どうしたの?」 「今から離婚届って出しに行けるのかな?」 「うん、確か今からでも夜…

君へ  19

奴が俺の自宅までの道のりでこれからの事を色々とアドバイスをくれた。 いつも奴は「命令」ではなく「提案」だ、後は自分で判断しろ‥と言う事だ。 俺は一緒に来て欲しいと頼んだんだが、断られた。 家庭の事までは入り込みたくないんだそうだが、すでにかな…

貴方へ  XIX(19)

花屋で薔薇をかった。 拓斗が好きな真紅な薔薇を10本。 その足で食事に向かった・・私が落ち着くように普通のカフェ そこで、食べながらする話ではないかもしれなかったが 核心に触れた・・離婚の話を切り出すタイミング 拓斗が言い出したのは 「これを食…

君へ   18

男性社員の号令で動き出した10分後 15人ほどの社員がまだ返して貰っていないと名乗りを上げた。 貸した金額も分かったので纏めて貰った。 男性社員の話しでは一人一人の金額は1万2万と少ないようなのでみんな諦めていたらしいとの事だった。 うちの社…

貴方へ  XVIII(18)

出かけた先は拓斗が良く来るお店だと言う事だった そう聞いただけで緊張した 拓斗がお店に入るなり店員さんが深く会釈して「支配人を呼んでまいります」と言った やっぱり拓斗はどっかの御曹司?・・でも、新人営業マンでもある 拓斗の会社の社長は知ってい…

君へ  17

「起こした問題・・と言うのを少し詳しく聞いてみる。解ったらすぐに連絡する」 そう言われて仕事に戻った どうするつもりなんだろう・・奴の頭の中は平凡な俺なんかには理解不能だ。 営業部に帰ると秘書である彼女が駆け寄って来た。 小さいメモを見せて「…

貴方へ  XVII

拓斗と私はその足で少し離れた町の家具屋に行った。 ベットと化粧台になる様な机の候補を決めた でも私はまだ拓斗の部屋に入った事が無いからイメージがわかずにいた ただただ一緒に暮らすものを見て回るだけでも楽しかった。 夕食を一緒に食べて、ホテルに…

君へ  16

その日、家に帰った俺は携帯を見つめていた 自分から掛ける事はもう無いと思っていたから少し勇気が必要だった あれから少し時間がたっているし、変に急かす様な感じにもしたくない しかし、このままでは落ち着かないのも正直な所だし、奴のセリフではないが…

貴方へ  XVI

目が覚めるともう夕方だった 西陽が入る部屋だから眩しいオレンジ色が鮮やかだ ふと手元の携帯を見ると拓斗からの着信とメールが入っていた メールには「目が覚めたら電話してみてね」とあった 慌てて電話をするとワンコールで拓斗が出た 「おはよう」 「ご…