貴方へ XVII
拓斗と私はその足で少し離れた町の家具屋に行った。
ベットと化粧台になる様な机の候補を決めた
でも私はまだ拓斗の部屋に入った事が無いからイメージがわかずにいた
ただただ一緒に暮らすものを見て回るだけでも楽しかった。
夕食を一緒に食べて、ホテルに送って貰った後は嬉しさで落ち着かなかった
きっと拓斗も同じだろうな
明日の朝に迎えに来てくれる・・嬉しくてたまらない
眠れるだろうか・・私
なかなか眠れず、目が覚めたのは目覚ましの音・・7時
拓斗が迎えに来るのは10時
お店の開店時間を過ぎている方が人目に付きにくいからと拓斗が言うから
10時が待ち遠しい、でもそれまでにシャワーしてお化粧してチェックアウト
自分の車で拓斗の車の後を走る・・こんなのもいいかもって思う
昼食は拓斗が作ってくれるらしいから楽しみで仕方ない
10時5分前
フロントでチェックアウトして、自分の車に乗り込むと駐車場の出口で拓斗がクラクションを鳴らした
そのまま、拓斗の車の後ろを走る
手を振る拓斗のシルエットに私も手を振る
その内、じゃんけんを始める拓斗・・運転しながらなのに危ないな~と思いながら付き合う私
そう言えばいつも拓斗の隣だからこんな事は初めてで・・と言うか人生で始めてだ
そうこうしているうちに私が止める駐車場に着いた
拓斗がハザードを出し止まって窓から手をだし4と2を指で教えてくれた
拓斗の車を追い越して立体駐車場に入り42番のスペースに止めた
4階の駐車場・・エレベーターで降りて行くと駐車場の窓口で話をしている拓斗
私に気が付くと手招きをして、駐車場の管理のおじさんに紹介してくれた
もう月極料金を払っておいてくれたらしい。
拓斗の車に乗り込みマンションへ
ドキドキする・・緊張していつもの様に笑えない私を見てくすくす笑う拓斗
それを見て私も笑った
「やっと、いつもの沙代里だ」
「だって・・初めてだもの」
「言っておくけど、散らかっているからね~男の一人暮らしだし」
「じゃあ、一緒に片付けましょうね」
「は~い」
こんな会話でも笑顔になってしまう・・この幸せがずっと続くと良い
拓斗のマンションの着いた
私が思っていたよりも綺麗で大きなマンションだ
そのマンションの7階の南側の角部屋が拓斗の部屋だった
部屋番号で自動ドアが開き、エレベーターで7階へ
カードキーで部屋のドアが開く、玄関も広い、拓斗に促されて中に入ると綺麗なキッチン、広いリビング、部屋数もいくつかある
散らかっていると言っていたけど、大きなソファに脱いだ服のいくつか掛かっていて
テレビの前に真新しいゲームが有ったり、窓際にジムにある様な道具が置いてある
凄いと思いながら少し違和感があった
拓斗は新人営業マンだ・・どうしてこんないいマンションで暮らしているんだろう
もっと普通のアパート的な家を想像していた
私がビックリしていると拓斗が近づきキスをして抱きしめて来た
「今日からいつも一緒だよ」
「うん」
幸せだった・・幸せだったがこの違和感をどうしたら良いだろう
聞くのがちょっと怖くて黙ってしまったが勢いで聞いてしまえば良かったと後悔した
私の荷物はすでに今まで使っていなかったという部屋に運ばれていた
「沙代里の荷物は本当にこれだけなの?」
「うん、同居する時にね、殆ど手放してお金に変えられちゃったから・・・」
「じゃあ、今から色々揃えに出かけようよ」
「・・でも、私・・そんなにお金が・・」
「お金の事は気にしないで、僕が揃えたいんだから・・」
見せられたのはゴールドカード・・・初めて見た
今だ!と思って聞いてみた
「拓斗は・・お金持ち・・なの?」
「俺・・今の会社に入る前は株をやってたのともう一つ理由があってお金には不自由してないんだよ・・詳しい事はまた話すよ」
「そうなんだ・・羨ましい」
「だから、沙代里はお金の事は気にしなくていいからね」
「・・うん・・でも・」
「気にしない」
そう言って抱きしめられた
まだ、腑に落ちないけどとにかく出かけた