貴方へ XV
今日の1日・・彼からの連絡を待つ
オロオロしないで心配しないで、落ち着いて連絡を待とう
食事を終えて一度部屋に戻り着替えてお化粧をして出かけた
今日は自分の車で、彼の前で初めて泣いたあの公園の駐車場へ
あの時の事を思い出しながらニヤニヤしたりして
天気が良くて気持ち良くて携帯を手にウトウトしていた
だって、夕べ眠れなかったから・・・。
しばらくして携帯がなった、彼からだ。
深呼吸して電話に出た
「もしもし・・」
「沙代里・・今どこ?」
「えっと・・前に拓斗が連れて来てくれた公園の駐車場だけど・・」
「すぐに行くからそのまま待ってて」
それだけ言って切れた
声が弾んでいた・・きっと上手くいったのだろう
でも、まだお昼前なのに職場を離れて大丈夫なの?
しかし運転中だろうから待つしかない・・いや、私はちゃんと待って居よう
外に出て背伸びをして空を見上げた・・真っ青な綺麗な空
もし、私の勘違いで結果が良くなかったとしても平気だ
家出もあと1日なんだから・・・。
彼の車が隣に乗り付けた
満面の笑みで彼が車から駆け下りて来て思いっきり抱きしめられた
「沙代里‥僕の沙代里・・・愛してるよ」
「拓斗・・私もよ」
しばらくそのまま抱き合ってた、彼の嬉しい気持ちが伝わってくる
もう、何にも聞かなくてもいいやって思ってしまった。
拓斗が私のおでこにキスをした後こう言った
「作戦は大成功・・・今、まだ大騒ぎの真っ最中だろうけど僕が余計な事を言ったからだってあの女が怒りだして先輩に言われてしばらく隠れていろって事で、ココにきました・・ククク」
「拓斗、楽しそう」
「あの女の顔・・沙代里にも見せたかったよ」
「でも、拓斗は上の人に怒られるんじゃない?」
「昨日も言ったけど、営業しただけだし・・・お咎めはないと思うよ」
「新入社員の仕事をしただけ・・」
「そう・・そして出勤した沙代里には同情の嵐」
「同情か~・・ふふふ」
「ね?笑っちゃうだろ?」
「私も拓斗を怒らせないようにしないとね」
「そうだよ~僕を怒らせると大変な事になっちゃうんだから~」
拓斗は頭がいい・・その分大切な物とそうでない物をはっきり持っていて
今の私は「大切な物」の中にいるけど、そうでなくなったらきっと拓斗の冷たい顔を
目のあたりにする事になるんだろう
私の様に「仕方なく生きる」なんて絶対になさそうだ
「拓斗・・今夜は会えるの?」
「お店に帰ってみないと分らないな~責任は無いけどお客さんを怒らせた事情は説明しないといけないだろうし・・でも、遅くなっても連絡はするよ」
「分かった・・昼食を取ったら部屋に帰ってるからね」
「うん、その時に話したい事もあるし・・」
「話?」
「その時のお楽しみだよ・・じゃあ、そろそろ店に帰ってみるね」
「うん、気を付けてね」
拓斗の車が見えなくなるまで見送った
私はホテルの部屋に帰って、離婚届をカバンから出ししばらく眺めていた
これをどうやって渡そう・・郵送でもいいけど目の前で書いて貰いたいし・・
拓斗に付き添ってもらう訳にはいかない
もう、自分の荷物は殆どない家だ思い入れもない
近くのカフェに出て来てもらった方がいいかな?人の目がある方が暴力も振るわれないだろうし・・。電話の時にでも拓斗に相談しよう。
そして、引き出してきたお金があるし、どこかアパートでも借りないといけない
保証人が要らない所もあると聞いたし・・などと考えながらベットで眠ってしまった。