hanaremon’s blog

小説や詩のブログ

貴方へ Ⅵ

 

2日目は美容院に行こうと決めた

折角、仕事もお休みしているのだからのんびりするだけでは勿体ない

今まで出来なかった「自分磨き」をしようと思ったのだ

結婚してから何年もご無沙汰しているのでどのお店が良いのか分からない

思い立ってこの間会った友達に電話した

簡単に今の自分の状態を話して、いい美容院を教えて貰らった

友人も予約をしているとの事で、友人から連絡してくれて

同じ時間に予約がとれた

また話が出来る・・・今回はこの間よりも楽しい会話が出来そうだ

予約は午前中なので終わったらランチをする約束もした

友人がホテルまで車で迎えに来てくれて乗った時から話は弾んだ

「貴女のおかげで心が決まったの・・・本当に感謝してるわ」

「でも、こんなに早く行動に出られるなんて凄いよ・・ビックリした」

そう言いながら2人とも笑顔で話が続いた

美容院に着いて2人で隣同士で座り、美容師の人と相談しながら髪型を決めた

今まで何も出来ず伸ばすしかなかった髪をバッサリ切ってショートカットにした

昔より瘦せた顔が少しふっくらして見えて、若返った気分だった

彼女はカールした長めの綺麗な髪を少しだけ切って軽くしたようだった

髪が終わった後、彼女は次の予約をしたが私は予定が立たないからとまたにした

美容院を出た後、彼女の行きつけだというお店に連れて行ってくれた

洒落たイタリアンのお店・・・自分の着ている服が気になった

美容院に行くのだからと一番お洒落な服を着て来たつもりだったが

こういうお店だと浮いているような気がして恥ずかしかった

彼女との差を思い知らされる

食事は美味しかったし話も弾んで楽しかった

彼女が自分が誘ったのだからと会計を済ませてくれた

その後、服を買いに行かないかと誘われたが財布の中身が気になり

「それはまた今度で・・・」と断った

彼女も「浮かれすぎちゃった・・・」と舌を出しておどけてくれて助かった

この先、彼女と付き合うにはお金が掛かりすぎるかもしれない

そう思ったら浮かれてばかりもいられないと実感した

それと同時に、彼女の様に裕福な生活を夢見てしまった

この休みの間にお給料日が来る

その日には新しい服を選びに行こう

彼女の様な良い物は買えないだろうけど、この髪型に似合う服を買おう

その後は彼女にホテルに送ってもらって、部屋に着いたらベットの上で寝てしまった

慣れない事をして少し疲れたのだろう

目が覚めたのは18時過ぎ・・・良く寝た

夕食は昨日フロントで教えて貰ったお店に行ってみようと思った

髪を整えお化粧を直し部屋を出てエレベーターの前で待っていると

同じ階であろう男性から声をかけられた

「髪型変えたんですね、とってもお似合いです」

「・・ありがとういございます」愛想笑いになった

そのまま、一緒にエレベーターに乗った

「あの~前に会った事があると思うんですが・・・」

「あ~・・そう・・ですか?」

「あっ・・〇〇町のスーパーにお勤めではないですか?」

「えっ?‥そうですが・・・」

しまった~つい本当の事を言ってしまった

その私の顔を見てその男性は悪い事を聞いたと思ったのか

「ごめんなさい・・・余計な事でしたね」と

頭を下げエレベーターを先に降りて行ってしまった

感じのいい人だったのに私こそ悪い事をしてしまった

今度会ったら謝ろう